先輩レジデントからのメッセージ

田中惇也先生(福井県立病院救命救急センター)

tanaka.jpg私は初期研修終了後、福井県で北米型ERと福岡県で小児救急の研修を行い、6年目で当センターに赴任しました。重症患者の経験値が少ないこと、救命に関わる手技や集中治療の経験を増やしたく当センターでの研修を希望しました。特にER医の視点から良かったことを述べますと、様々な疾患や手技を経験できたこと、「今、自分が診ている患者さんはどの時期にいるのか」という疾患の流れが経験できることを挙げます。

外傷センターの多くが外科をバックグラウンドとしないと通用しない施設が多い中、外科や手技ができない私は、やっていけるのかと赴任前はとても不安でした。しかし、実際働いてみると、本当に基本的な手技から1つ1つ教えていただき、その不安は無くなりました。これは、当センターが、今まで私以外にもたくさんのER医を受け入れてくださったという文化のためです。「先生らがあんまり手技やらないのは知っているよ~。でも、こういう知識は僕らより詳しいこと知っているから教えて~。」と居心地の悪さがないのは本当に助かりました。

また、敗血症や外傷だけでなく、精神科患者さんの身体疾患合併、社会的に複雑な患者さん、周産期救急の妊婦さんなど他の施設では経験しにくい患者さんも経験します。精神科病棟やリハビリ病棟も同じ施設にあるため、超急性期が落ち着いてからもどのように経過をたどるか経過を追えることは勉強になります。同じ疾患でも症例数が多いので様々なパターンを経験でき、「この患者さんはこの病気だけど、これはヤバイパターンだ。」とか、「今は落ち着いているけど、入院後この合併症に注意しよう。」と疾患の理解が深まり、それが今の診療にとても役に立っています。

私の様に普段あまり手技や入院患者の診療を経験しない救急医や救急医でなくても重症患者の診療を短期間でも経験したい医師の方には、特に当センターでの研修をお勧めします。


笠原直人先生(静岡赤十字病院救急科)

kasahara.jpg私は後期研修医の2年間を福岡で救急科 兼 外科所属として修練し、5年目を当センターで勉強させて頂きました。赴任して先ず驚いた事はその症例の多彩さ、豊富さです。

外傷だけでも交通外傷や墜落外傷、刺創、轢断など疾患は幅広く、それに対する緊急開胸・開腹術、骨盤後腹膜パッキングやOpen Abdominal Managementなど、一般外科の修練だけでは中々見ることのない疾患や治療を日常的に経験する事が出来ました。その他、緊急穿頭や骨盤創外固定、CTガイド下穿刺やIVRなど救命に必要な外科的処置の殆どを経験させて頂きました。また1度経験して終わりではなく、同じような病態の患者が時間を置かず搬送される為、手技や知識を身体で覚える事が出来ました。そして当センターの最大の特徴の1つであるHybrid ERはあらゆる初療展開を可能にしてくれます。搬入前から治療達成までの記録をカンファレンスでしっかりたっぷりフィードバックして頂く事で自分の初療展開の穴を無くし、より早く、より正確なものにすることが出来ました。更に外傷だけでなく、集中治療においても日本トップレベルの治療を行っており、PCAS(Post-Cardiac Arrest Syndrome)、Septic Shock、中毒、重症広範囲熱傷、特殊感染症など致死的な疾患を治療・管理が出来るようになったのは、レジデント主体の診療体制に加え、上級医による情熱と優しさ溢れるサポートや御指導があったからこそと感じております。

『外科医だけどしっかり重症の集中治療も勉強したい!』『救急の外科的スキルを身に付けたい!』という方や『手術の疲れを手術で癒す充実した救急医、外傷外科医生活を過ごしたい!』という方、是非一度見学にいらして下さい。自信を持ってお薦めします!


吉村旬平先生(堺市立総合医療センター外科)

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(略歴)
平成24年 大阪大学卒
平成24,25年 大阪府立急性期・総合医療センター 初期研修医
平成26年 大阪府立急性期・総合医療センター 救急診療科 後期研修医
平成27年~ 堺市立総合医療センター外科

私は初期研修後に後期研修医として、1年間当センターで研修をさせて頂きました。1年間という短い期間でしたが、臨床・研究・災害医療と幅広い分野を指導して頂き、非常に充実した日々を過ごすことができました。

1)臨床の充実

年間1000例を超える3次の症例(外傷、敗血症、中毒など)を初期治療から退院まで一貫して加療に携わることができます。救急医としての初期蘇生や初期治療におけるdecision making、集中治療医としてのICUでの全身管理、acute care surgeonとしての外傷・急性腹症等に対する手術、と幅広い臨床経験を得ることができます。

状態の不安定な重症患者の初期診療や、入室後のICU患者の全身管理は非常に難しく、研修当初はスタッフの少なくなる当直帯は特に不安が多かったですが、当センターでは常に上級医が見守ってくれる体制が整っています。必要に応じてアドバイス、サポートしてくれるので、レジデントが主体的に診療することができ、知識・技能・経験を深めることができました。私も1年間の研修を経て、外傷、敗血症、中毒等の幅広い病態に対して自信をもって初期蘇生やdecision making、ICUでのintensive careができるようになりました。

多くの外傷症例を経験し、止血・損傷臓器の修復や摘出を行うために、外科的手技の習得が必要であることを、この1年間で学びました。1年間の研修を経て、主要血管のTAEは上級医のサポートのもとできるようになりました。一方で、開腹を要する症例に対しては、執刀医として治療を完遂するまでには至っておらず、今後、症例を経験して学んでいきたいと考えています。

2)研究の充実

学術面も非常に力を入れています。上級医のスタッフが、臨床医としてresearch mindを持って診療を行う心構えから、実際に学術発表する準備や論文の執筆まで熱心にサポートしてくれます。私は2014年度の一年間で、国内の学会では、外傷学会のポスター発表と日本救急医学会のパネルディスカッションで発表することができました。また、研修の後半に入ってからは、前半の研修中に日々の臨床から生まれたclinical questionに対して、上級医にアドバイスを頂きながら、後方視的検討を行い、ベルギーで開催された国際学会International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine 2015で発表することができました。

論文執筆にも精通している上級医がいるため、論文の書き方の基礎から指導して頂き、学会で発表した題材を基に、Critical Careより論文を発表することができました。

3)災害医療の充実

災害医療を体系的に学べる機関は非常に限られていると思います。当センターでは、基幹災害医療センターとして災害医療について学ぶ機会も充実しています。年2回の大規模な災害訓練を通して、救護所での医療や本部運営を学ぶことができました。また研修中に大阪DMATの資格も得ることができました。

私の研修期間中に当センターから2度DMAT出動がありました。私が現場に出動することはありませんでしたが、院内で後方支援メンバーとして情報収取に携わりました。実際に出動したDMAT隊員に情報伝達を行えたことは、今後災害医療に携わる中で非常に大きな経験なりました また、私の研修期間中に他府県で大きな災害(広島土砂災害や御嶽山噴火など)がいくつかありました。当センターからの出動はなかったものの、どのような傷病者が予想されるのか、どのような医療ニーズが発生するのかなど、活発な議論をすることで、災害医療に対する知識を深めることができました。


上記の通り、臨床・研究・災害医療と広い分野にわたって学べる環境が整っています。やる気と体力さえあれば、スタッフも常に全力で指導・応援してくれます。ここで学んだ、臨床医としての幅広い知識・技能、常にresearch mindをもって明日の医療を作るんだという心意気、平時より準備を怠らず災害に備える心構えは、救急医を目指す医師はもちろん、すべての医師にとって一生の糧になると思います。


加藤之紀先生(杉田玄白記念公立小浜病院 救命総合診療科)

img_message_03.jpg 救急医療と聞いて、一般に頭に浮かぶイメージとはどんなものでしょうか? 

今にも失いそうな一つの生命に医者をはじめとしたチームで立ち向かい全力で救っていく、高度救命救急ももちろんそうでしょうし、数多く来院する救急外来の患者の中から入院が必要な重症患者を見つけ出し、初期対応をしていくのも一つの救急医療の形と言えそうです。

私は後者、いわゆるER形式の救急医療を医師3年目から研修しています。研修の中で高度救命救急の分野を実際に体験し実習する必要を感じ、外部研修も許される状態であったため、当大阪府立急性期・総合医療センター救急診療科に2か月の短期実習を申し込み、受け入れていただきました。短い時間ではありましたが、多くのことを学び考える貴重な期間になったと思います。救命救急科としての特徴と、府立急性期・総合医療センター独特の特徴がまざっているかもしれませんが、以下に私が感じた救急診療科とその研修の特徴を挙げたいと思います。

1)度量が広い!

まず、同じ救急の分野とは言え、入院を基本的には自分ではとらず専門科にパスしてしまう、高度救命とは全く異なるタイプのERの医者を短期で研修に引き受ける時点で度量が広いと感じました。それだけでなく、実際の研修においても手技や対応の点であまりにも未熟でおたおたする私を温かく迎えていただき、手術や手技の際には積極的に声をかけてもらいました。

積極的に勉強し、Tryするということに寛容な空気が、科全体に流れていたように思います。

2)アクションが早い!

そんなやさしい先生方が一気に豹変するのが重症患者の搬入時です。複数の医師が走り回り、時に怒号も飛び交う修羅場に変わります。しかしその時こそが高度救命救急センターの真骨頂と言えるでしょう。その中で行われる迅速で適切な救命処置を体験させていただいたことは今後の医師生活の大きな糧になりました。特に外傷の際のアクションの早さは特筆すべきものがあり、一般外科医でも整形外科医でもできない、外傷外科としてのスキルの医療における必要性を感じました。1分1秒を争う超急性期において、決断の早さ、行動の早さは患者の生命を救う大きな要素であり、それを学ぶ場所としては最適な環境だと思われます。

3)入院から退院まで

府立急性期・総合医療センター救急診療科では、自分達が初期対応した患者は基本的には退院もしくは転院まで一貫して自分の科で担当します。これは高度救命救急施設としては珍しいのではないでしょうか?初期対応しその後の管理は専門科に依頼するERとはいわば対極にもあたる方針ですが、急性期に行った処置や手術の経過、またその回復過程であるリハビリまで責任をもって見ていくことで、医師としての責任感のみならず中長期的な見通しをつけた急性期医療も培われていることを感じました。

また患者と長く付き合っていくことによって、ともすれば「症例」となりがちな重症患者を「人間」として尊重した対応が可能になっていると思います。

体力は必要な職場とは思いますが、飛び込んで得るものは非常に大きいこと請け合いです。まずは第一歩、見学することから始めてはいかがでしょうか?


中西泰造先生(福井県立病院 救命救急センター)

img_message_04.jpg(略歴)
平成18年 大阪市立大学卒
平成18,19年 市立堺病院にて初期研修
平成20,21年 福井県立病院救命救急センターにて後期研修
平成22年 大阪府立急性期・総合医療センター救急診療科にて後期研修
平成23年~ 福井県立病院救命救急センター

私は他の後期研修医の先生方とは少し異なり、5年目の医者として1年間、当大阪府立急性期・総合医療センター救急診療科で勉強させて頂きました。それまで2年間、外来のみ行うER型救急をしていました。年間3万人以上訪れる救命センターでしたが、ほとんどが軽症例で重症例の経験に乏しかったため、症例の多い当院を選びました。当院は南大阪の最後の砦とも言うべき救命センターですので、毎日ありとあらゆる疾患の重症患者さんが運ばれてきます。私自身、当院の1年間でたくさんの重症例を経験することができ、もう重症例に臆することはなくなったといっても過言ではありません。穿頭術、開胸術、気管切開術、CHDF...当院の1年間で出来るようになったことをあげだしたらきりがないくらいです。また症例の多さだけでなく、上級医のサポートも完璧です。困った時にはいつでも助けてくれる上級医がいるので心配はいりません。和気藹々と、とても良い雰囲気の医局です。

当救命センターの特徴として、退院まで診療を行っていることがあげられます。他の救命センターのように全身状態が落ち着いたら転院、ではなく社会復帰まで考えてリハビリテーションを行っています。重症で来られた患者さんが、歩いて退院される姿を見るのは感慨深いものがあります。

技術はもちろん、知識も医者としてとても幅が広がります。これから救急を専門とする先生はもちろん、専門は救急でなくても重症管理を一度しっかり勉強してみたい先生にも当院はお勧めです。さあ刺激的で濃密な救急研修があなたを待っていますよ!