NBC災害とは

NBC災害とは核(nuclear)、生物(biological)、化学物質(chemical)による特殊災害のことを言います。
この中には事故からテロリズム、事件まで幅広い事象が含まれます。我が国における核災害では広島・長崎の原子爆弾投下(1945)から始まり、現在進行中の東日本大震災における福島第一原子力発電所事故まで含まれます。生物災害ではO157集団発生事件(1996)や雪印食中毒事件(2000)があげられます。化学災害に関しては松本サリン事件(1994)、東京地下鉄サリン事件(1995)、さらには和歌山カレー毒物混入事件等、未だに記憶に新しい事件が身近に起こっています。
 NBC災害では、大量被災者が出ることが想定されます。発生する頻度が低いことにもかかわらず、対応に特別な知識が必要であり、通常の災害対応に加え、診療に携わるものの防護や患者の除染が必要になります。

NBC災害への対応

NBC災害に対応するためには、通常の集団災害対応に加え、ゾーニング、防護、除染が必要となります。

ゾーニング

ゾーニングとは、特定の目的のために区域を指定することです。NBC災害におけるゾーニングは、汚染の拡大を防ぎ、二次災害を防止すること、より多くの命を救うために、被災者の動線を整理し、救助救護活動を効率的にすることを目的に行われます。

防護

NBC災害に対応するためには、医療従事者等の作業者は、二次災害を防ぐために、防護措置を施す必要があります。 作業においては、危険地域にいる時間を最小にすること、可能な処置はできるだけ距離をおいたところで行うことが原則です。個人防護服は、主に危険物と体を遮蔽するために用いられ、レベルAからDの4段階に分別されます。

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木口隊員にレベルCの防護服を着用してもらいました。
医療関係者に備蓄されている一般的な防護服です。着衣は耐薬品性に優れています。腰のベルトに付けられた吸収缶で、有毒物質の吸着を行います。マスクは陽圧式なので、呼吸も比較的容易です。着用すると蒸し風呂状態のため、水分補給用のポートも用意されています。当院では同型の防護服を30セット備蓄しています。

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藤見部長に、レベルAの防護服を装着してもらいました。なぜ部長自ら?欧米人仕様なのか大きいのです。最も身長が高い部長をモデルとしました。表情からもわかるようにまんざらでもなさそうです。まず空気ボンべの呼吸器を装着します。かなり重くこたえます。

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レベルA防護服を着てもついポーズをとってしまうおちゃめな藤見部長。当院救命救急センターの象徴です!
完全陽圧の防護服ですから、bio、chemicalには威力を発揮します。ただし、医師としての活動は見ての通りなかなか難しと想像されます。

除染

除染は、NBC物質の患者の体内への取りこみを減らすこと、救助者、医療従事者等への二次汚染を防止することを主な目的に行われます。除染の第一歩として、まず、汚染された服を脱がせること、「脱衣」が行われます。Dry decontamination(乾的除染)と呼ばれます。さらに肉眼的汚染や皮膚刺激症状が観られる場合はWet decontamination(水的除染)を行います。

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救命救急センター前でエアテント内に除染システムを展開。