災害訓練レポート 2


患者さんが来る前のエントランスの様子

エントランスの内側はトリアージエリアとなっています。
トリアージというのは、災害時にたくさん押し寄せる患者さんを一人でも多く助けるためのしくみで、患者さんの状態によって、4種類に分け、治療の優先順位をつけます。軽症から重症にしたがって、緑:III 黄:II 赤:I黒:0の4色で分けられます。信号と似てますね。通常はトリアージタグ、という札がつけられ、ちぎって利用します。

用意された沢山のICタグ

今回の訓練では、トリアージタグは使わずに、ICタグで患者さんの状況を把握をするという画期的な方法がとられました。
患者さんは、トリアージエリアにやってきた時点で、まずICタグをかけられます。そのICタグにスタッフがおサイフケータイ機能を搭載したスマートフォンを使って患者さんの情報を記録していきます。

ICタグに記録すると同時に無線LAN(wifi)で本部のサーバに登録され、パソコンであったり、スタッフの一部がもっているタブレット端末で、受け入れ患者さんの状態を一望できるというシステムです。
また、 ICタグに記録した情報は、別の場所でもスマートフォンで読み取れます。
ですから、トリアージエリアで患者さんの名前や顔写真を記録すると、別のエリアでも、スタッフがスマートフォンをICタグにかざすだけで、登録された患者情報を呼び出すことができるのです。


患者さんの名前を入力したり、顔写真を撮って登録します

☆トリアージタグの問題点の一つに、患者さんがちぎってしまうといったことも聞いたことがあるので、患者さんが触れない状態なのは良いのかな、と思いました。院内で完結するLAN回線だから、電話やインターネットが使えなくても、電気が使えれば利用可能なんですね。また、カメラ付きのスマートフォンなので、患者さんの顔写真も同時に記録しています。患者さんとICタグの情報をとり違えてないか顔写真で常に確認可能という点も、魅力に思えました。

15:00
患者さんが続々とやってきます。

患者さんの状態にあわせて怪我の特殊メイクがされていて、とてもリアルです。うめき声をあげたり、足を引きずったりされています。患者さんだけでなく、家族の方などもいます。「旦那が下敷きになってるんです!」など、怪我と関係なく実際に来られるだろう方への対応も、訓練に盛り込まれていました。


緑エリアに誘導される患者さんたち

エントランスでのトリアージ(一次トリアージ)は、START法という診断が行われています。まず、歩ける方は緑:III(一番軽症)として、ICタグに情報を記録されたら、緑の診療エリアに誘導されていきました。残りを決めるのは「ABCD」だそうです。「A(Airway:呼吸しているかどうか)B(Breathing:呼吸の状態・回数など)C(Circulation:循環。親指を押さえて血色の戻り具合で判断)D(Dysfunction of CNS:意識レベルのチェック)」とのこと。Aで気道確保しても呼吸ができなければ黒:0、BCDで問題なければ黄:II、残りが赤:Iとなるそうです。


緑エリアの様子

はじめは軽症と診断されてもあとで容態が悪化することもあり、緑エリアから、黄色や赤に移動となる患者さんもいました。

最初のうちは徒歩の方が多かったのですが、その後車椅子や、ストレッチャーなど、重症な方も増えていきました。

☆個人的にショックだったのは、赤ん坊(人形ですが)を抱えたお母さん。赤ん坊は呼吸をしておらず、トリアージでいう黒:0、つまり死亡または助けられないといった区分になったのですが、お母さんが「うちの子はどうなるんですか?!」と医療スタッフに詰め寄っていました。きっと実際の災害現場でも、こういったことが多々あるんだろうな、と悲しくなりました。

災害訓練レポート3へ続く